地球上に生きる動植物たち。彼らには太陽と水が必要である。
では、そのうちの一つが消えたら彼らはどうなるのだろう・・・。
赤紫色の垂幕の中で蝋燭に火を灯しながらベッドに寝そべっていると 暗闇の向こうから微かな光が揺れ、こちらに向かってくる。 「セアムーセアムーッ!!」 勢いよく走ってくる足音と共に自分を呼ぶ声が近づいてきた。 セアムはやばい、と思い起き上がって逃げようとしたが・・― 「どこに逃げるの?セアム」 不思議そうに見つめながら肩を掴んだ相手を背に向けながら セアムは、はぁ、と息をついた。結局はいつもこうなるのね・・。
先程の相手を部屋に招き入れ、用件を問う。 「イージー知らない?私のペットの」 聞いた瞬間、セアムは拍子抜けた。 「イージ〜〜?それだけなの用は・・」 呆れた・・と思いつつも一応知らないことを相手に伝える。 セアムは頭を掻きながら、はぁとまた溜め息をついた。 「じゃ逃げなくても良かったわ・・あんたまたあたしにアレをつくれとか言うと思って・・・」 それを聞いた相手は一瞬表情を強張らせた。 「二週間前の事故・・確かに酷いけど私の科学じゃどうにもできない。 陰しかないこの地下ではどうしようもないこと」 相手はしばらく黙っていたが、こちらを向いて笑って言った。 「大丈夫だよセアム 私自分で見つけた、どうにかする方法。 そのためにもイージーを調べようと思ったんだけど・・」 そこで切って、頭に手を置きながらアハハ、と笑った。 「どういうわけか逃げちゃった」 「・・何したのよあんた」 エヘ、とさらに笑い続ける相手からはその原因は分からない。 「ま、いいや。それじゃねっありがと」 そう言って相手はその場を去った。 後に残ったセアムは立ち去る相手を疑問に思いながらも先日の事を思い出していた。
―どんなモノでも自然には敵わない・・少なくとも、ここ地下ではね・・ 『地下・・・』
しかし良い考えは思いつかなかったらしく幾日も此方に同じ質問を繰り返していた。 ―それなのに今日はいつもと違って笑い続けていた・・それに・・・。 「『自分で見つけた』・・ね。」 目の前で揺れる炎を見ながらセアムはまた一つ、溜め息をついた。 「無茶しなきゃいいけど―・・・」
薄暗い通りを歩きながらラメスはマリン色の髪の少女を捜す。 「イージーっどこ?」 ペタペタとゆっくり歩を進めながら、まさかセアム隠してるんじゃ・・ と、あの人を苛めるのが好きな相手なら有り得ると思い始めてもいた。 「・・イージー・・・」
これまで地上にしか住まなかった人が、地下でも生活するようになった。 人は地上の者を『陽(よう)』、地下の者を『陰(いん)』と呼んでいる。 当然彼らには異なった能力などがある。また・・ 陰の方が陽よりも強いと云われているが、陽は陰を下等扱いする。 それによって陰は20年前から地上には顔を出さなくなった。 ―これが、【陰陽説】である。
そんなことを鬱々と考えていると、遠くの方から 「ラメスーー!」 と呼ぶ声が聞こえた。呼んだ相手は此方まで来ると、 ごめんねーと大した悪びれも無く笑いながら止まった。 イージーとは『EG』のことで、人型の『ロング』である。 『ロング』とはいわゆる守護霊。陰の多くはペットとして飼っている。 いてよかった〜と言いながらもラメスは相手に問い詰めた。 「どこに行ってたの?もー・・」 「だってラメスあたしのこといじったじゃん」 「・・・。」 それを言われると何も言い返せず、しばらく黙っていると イージーがズイ、と此方に顔を向けながら言った。 「壊れてないよあたし、新品だもん!」 何を言い出すのかと思いラメスは慌てて訂正した。 「もちろん壊れてないよ」 だが相手はそれだけでは納得できず、じゃあなんで?と聞き返してくる。 終いにはいらない?とまで。 「いるよ!・・だから捜してたんだよ?」 「じゃ、どうして?」 ラメスは歩き続けていた足を止め、一言だけ、静かに告げた。 「地上に行くため」 |